電子レンジは、熱を出さないマイクロ波という波長の短い電波を使って食品を温める
機器です。マイクロ波は、空気やガラス、紙などを通り抜け、金属には反射され、水に
吸収されるという性質があります。レンジの中には小さな穴がたくさん見えます。この
なかにある「マグトロン」という真空管がマイクロ波を発生させ、食品に発射されるの
です。
電波は金属に当たると反射するので、これにより電子レンジ内では反射して中の物質に
有効にあてることができます。逆に電波をガラスや陶器にあてると透過します。電子レン
ジで加熱したとき茶碗が熱くなるのは内部の食品が温められその熱が茶碗に伝導するため
です。電波は、食品のように水分を含む材料にあたると吸収されて発熱します。
水は極性分子なので、プラス・マイナスの極を持っていて、これが電波によって分子が
振動し、摩擦熱を発生し、食品の内部から発熱するのです。これを「誘電加熱」と言いま
す。正・負の電荷を帯びていない分子(無極性分子)や、振動しにくい物質(固体)には電磁
波の影響が少なく、加熱されにくい。水やアルコールなどの極性分子は、四塩化炭素、ヘ
キサン、ベンゼンなどの無極性分子に比べ著しい温度上昇が見られます。そのため電子レ
ンジで極性判別ができます。
実物の電子レンジで簡単な実験を行って、電子レンジの原理を知ってもらうと共に、
家庭でできる簡単おもしろ実験を紹介します。
@)電子レンジは水だけを温める事を確認してもらう
【実験方法】濡れたタオルと乾いたタオルを一緒にレンジに入れて一分ほどチンします
【詳しい解説】濡れタオルは含んだ水が温まる事で熱くなりますが、乾いたタオルは水分
を含まないため熱くなりません。
A)電子レンジが電磁波を出している事を確認してもらう
【実験方法】蛍光灯を電子レンジの中に入れてチンします(空焚きは危ないので水を入れ
たコップを一緒に入れてください)
【詳しい解説】蛍光灯は電極と電極の間の蛍光ガスがVHF帯の高周波(電磁波)で発光す
る仕組みです。そのためこの実験はフィラメントが切れた蛍光灯でもできます。電子レン
ジの出す電磁波はVHF帯を超えるUHF帯の電磁波のため、より強く蛍光灯は輝くのです。
B)[おもしろ実験]小さくなって使わなくなった石鹸を再利用しよう
【実験方法】小さい石鹸を何個か集めサランラップに包みます。あとは1分チンするだけ
【詳しい解説】石鹸内の水分が暖められるため、石鹸内部に含まれる空気が膨張する現象
です。膨らんだ石鹸をクッキーの型などに押し込むとオリジナル石鹸の出来上がり。
C)[おもしろ実験]電子レンジで押し花を作ろう
【準備する物】
電子レンジ、タイル(2)、目玉クリップ(2)、ダンボール、ティッシュペーパー、
ケント紙(3cm×10cm)、ラミネートフィルム
【実験方法】
タイルの上にダンボール紙、その上にティッシュペーパーを置きます。採集してきた植物
を適当な大きさに切り、形を整えてティッシュペーパーの上に置きます。植物の上にティ
ッシュペーパーをかぶせ、ダンボール紙を置きタイルを重ねて両端を目玉クリップではさ
みます(植物の部分に目玉クリップが重なると金属は電波を通さないので、うまくいかな
い可能性があります)
電子レンジの中に入れて、1分間加熱します。取り出すと熱くなっているので軍手をはめ
て目玉クリップをはずします。薄い植物はティッシュペーパーについていることもあるの
で、注意してはがしてください(できあがった標本は折れやすいので、ピンセットを使っ
て丁寧に扱ってください)
乾燥標本をケント紙(3cm×10cm)に置いて、ラミネートフィルムを貼ると簡単にオリジナ
ルしおりができます。
【詳しい解説】
花に含まれる水分を蒸発させる事で一瞬で押し花を作れます。
ここにある実験をする場合は子供だけでやらず、
必ず保護者と一緒にやってください
参考WEB
「科学Q&A」http://www.chemistryquestion.com/situmon/shitumon_kurashi_kagaku28_microwave_metal.html
「いますぐできるわくわく科学実験」http://www3.justnet.ne.jp/~konan/waku/a-1203.htm