図る 〜色と食欲の関係〜 一般的には五感というものが人間にはあり(第六感というものもあるかもしれませんが),これが人間の生活においてもっとも重要なものとなっています.五感には視覚,嗅覚,味覚,触覚,聴覚というものがありますが,人がおいしそうだと判断するときにもっとも利用している感覚は何だと思いますか? 答えは視覚です.色合いがかわるだけで,味は同じものでもおいしそうに見えたり,または逆にまずそうにみえたりしてきます.ここでは,色と食欲の関係について見ていきたいと思います. テーブルクロスを変えると? よく食べものの色合いをよくするとおいしく見えるといわれますが,それについて実際に皆さんに考えてみてもらいたいと思います.下の写真を見てください. さてここで質問です.
全く同じカレーライスですが,テーブルクロスをかえるだけで,印象がだいぶ変わってくると思います. あなたはどの色を選びましたか? この質問をイベント中に訪れて頂いた人々に伺ったところ,オレンジや赤の色を答えられる人がかなりいらっしゃいました.中には紫や青,黒といった色を選ばれる方もいましたが,それはかなり少なかったです. では,なぜ赤やオレンジと答えた方が多かったのでしょうか? 恐らくは赤やオレンジという色が“暖色”であるからだと思います.この色は温かさや興奮といった印象を一般に与える色です.また,この色には食欲を増進させる効果もあることが知られています.そのために,この色のテーブルクロスに変えることによって,多くの人においしそうな印象を与えたのではないかと思います. 暖色が食欲を増進させたわけでありますから,その反対の青系統の色,“寒色”はどういう印象をあたえるのでしょうか? 寒色は一般的に涼しさや冷静さといった印象を与える色です.また,この色が食べものと一緒に配置されると,食欲を減退させる働きがあります.そのために,この系統の色である青や緑といった色を選んだ人が少なかったと考えられます. 応用例 これらの色の効果は結構僕たちの身近なところで活用されています. その例としては,ファミリーレストランなどの“看板”の色です.この看板ですが,どのような色がもっとも用いられているとと思いますか? 注意深く観察してみると,ハンバーガーショップやファミリーレストラン,牛丼屋などの店の看板の色にはが“暖色”である赤やオレンジ,黄色などの色を用いている店がたくさんみられます(マクド○ルドや,デニ○ズ,もしくは牛丼の吉○家などの看板を思い浮かべて見ましょう!).これも店側による暖色の食欲増進効果を狙ったものと考えることができます.その一方で,“寒色”の色の看板を用いている飲食店は思い浮かびますか?なかなか思い浮かばないと思います. このように,飲食店では看板の色に暖色を用いることによって,お客さんに食欲をアップするような影響を与えいたのです. もう一つの例をみてみましょう.
アンケートの結果を見てみると… 僕たちは,このイベントの前にアンケートを実施して“カレーライスとテーブルクロス”の質問を行いました(アンケートの結果はこちら).これの回答を集計してみると,上に書いた傾向とは全く反対を行く傾向がでてきました.なんと, “青”と答えた人がもっとも多かったのです.本来であれば,嫌がられる色であるはずの寒色が支持されるという結果になったのはいったい何故でしょうか? このアンケートですが,ちょっとした問題がありました.それは“カレーライスとテーブルクロスの写真をみせなかった”ことです.このちょっとしたミス?(正直な話カラーコピーはお金がかかるという理由で,ケチって入れませんでした)がアンケート結果に大きな差が出てくることになってしまいました. どうやらこの写真のあるなしによって,質問に対する答え方がかなりかわってしまったようなのです.それは,写真がないために,テーブルクロスとカレーライスの色の組み合わせというよりは,むしろ「好きな色」を回答したようなのです.これは答えた理由からもはっきりとしています. そのために,僕たちが期待していた“カレーライスとテーブルクロスの色の関係”というよりは“回答者の好きなテーブルクロスの色”を調べてしまうという結果になってしまいました. 食事から少し離れますが,アンケートの結果にでてきたように,日本人は青色を好む人が多いようです.今回のアンケートは150人程でしたが,日本人全体の傾向を調べてみても,やはり青が好きなようです.この理由としては色々なことが考えられるらしいですが,青という色は海や空といった“自然の色”といった印象をあたえるので,昔から森林などの自然の多い日本に住む日本人にとっては好まれるようです.そのように考えてみると,アンケートにより日本人の好きな色を調べることはできたようです. おいしいご飯にする工夫 食べものと色の関係についていろいろと見てきましたが,最後に料理をおいしく見せる工夫について紹介したいと思います.
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