聞く?効く!おくすり - くすり班

薬の通り道

薬がその作用を現すには、まず体内に吸収され、効果を示す部位へ到達することが必要です。薬の吸収は、投与方法 (内服、外用、注射など)や薬の性質などにより異なりますが、ここでは、代表的な投与のパターンである、内服薬の場合に ついて説明します。

薬の体内での流れ

  1. 口から飲み込んだ薬が消化管から吸収される(吸収)

    吸収の段階において、内服薬(飲み薬)は、【口内→食道→胃→小腸】の順に体の中を通っていきます。このとき、薬の 成分は、胃ではあまり吸収されることなく、主に小腸で吸収されます。吸収の速さは薬の形によって違ってきます。水薬が最も 速く、以下おおまかに、粉薬、カプセル剤、錠剤の順となります。また、一般的に吸収が速ければ薬の効きめは速くなります。 こうした薬の効きめやその速さについては個人差があり、薬の製品や成分によっても多少違ってきます。

  2. 肝臓を経由して薬が全身に広がってゆく(分布)

    分布の段階において、まず、薬の成分は、肝臓を経由して心臓へ達します。心臓からは血液の流れにのって移動し、 全身へ広がります。そして、効果を示す部位(細胞)にとどいて効きめをあらわします。

  3. 体内をまわった薬が再び肝臓に戻り、分解される(代謝)

    次は代謝の段階です。血液とともに体内を循環した薬は再び肝臓へ送り込まれ、分解されます。薬は体の中に入ったすべてが 効きめをあらわすわけではありません。これは、肝臓に体に入ったものを分解する働きがあるので、薬もある程度分解され、 残ったものだけが運ばれるためです。更に、細胞に届ききらなかった薬も、再び肝臓に戻ってきて、分解されます。

  4. 体外に排泄される(排泄)

    肝臓で分解された薬は腎臓でろ過され、尿とともに体外に出ます。

人によって薬の量が違うのはなぜか?

上の図のように、薬が体内に入るスピード(投与速度)が速くなるにしたがって、体内の薬の量(上図の水位)は 多くなります。体内の薬の量が多くなれば(水位が高くなれば)、排水口からでていく水の勢いも大きくなります(体外に どんどん薬がでていく)。このように、通常使う薬の量では、体内の薬の量が、薬の投与量に従って増えたり減ったりしますが、 どんどんたまってゆくことはありません。

排水口の大きさは、患者さんによって異なります。例えば、肝臓や腎臓の働きが低下している患者さんでは、排水口が 小さいと考えてよいです。それぞれの患者さんに適した水位(体内の薬の量)を得るために、患者さんの排水口の大きさ (患者さんごとに異なる薬の除去能力)にあわせて、入れる水の量(薬の量)を調整します。

http://www.t-scitech.net/history/miraikan/medicine/medicine/way.html