予防接種を受けると、その病気にはもうかからなくなります。では、どうして予防接種をすると病気にかからなくなるので しょうか。人間の体内は本当に賢いのです。
こうして、インフルエンザの表面のタンパク質である HA と NA が体内に入ることにより、人間の体は抗体というものを 生成することができるのです。
人間の体は、ウイルスが侵入してきた場合、免疫細胞がウイルスを分析してその性質に合わせて「抗体」というものを 作り出します。ウイルスは表面のタンパク質(インフルエンザだと HA や NA)を使って細胞に取り付きますが、抗体は このタンパク質に蓋をして細胞に取り付けないようにするのです。また、抗体には、仲間の細胞に侵入者であることを伝え、 攻撃を促す効果もあります。一度感染して抗体を作れば、その抗体はすばやく作れるようになり、次回ウイルスが侵入してきても 症状が出る前に退治してくれるのです。つまり、表面のタンパク質が既に分かってるウイルスならば事前に体内で抗体を 作らせることができ、これが予防接種なのです。
抗体 |
ウイルスに蓋をする抗体 |
しかし、インフルエンザのウイルスは表面のタンパク質 (HA, NA) が変わりやすいので、一度インフルエンザにかかっても 次にかかるときは表面が変わってしまっているため、抗体がインフルエンザに蓋をすることができず、再び感染してしまいます。 そのため毎年、専門機関がインフルエンザの流行しそうな型を予測し、それからインフルエンザワクチンの生産が開始と なります。しかし、予測ができるのは秋で、ワクチンは短期間で作れるものでもないことから、冬になるとワクチンが不足する ことが多くなっています。