電源の設計
 電源に乾電池を使うルールです。 でも、どんな乾電池が何本必要なのだろうか?  まずは、電池メーカーのホームページを見て乾電池のカタログをダウンロード。。。 そして、ランチタイムに飯を食いながらある結論に達した。。。
 「オキシライド乾電池」で行こう!!
 カタログのデータを比較検討したところ、マンガン乾電池はパワーが弱く問題外。 悩んだのは、単1のアルカリ乾電池を使うか?単3のオキシライド乾電池を使うべきか? メーカー公表のデータから考えると、単1アルカリ乾電池の方が若干、大電流が取り出しやすく容量も大きい。しかし、重量は単3オキシライド乾電池の約6倍の140g。場所もとるし、お値段も少々高い。
 コスト、大きさ、価格、重量などを考慮するとオキシライド乾電池はとても性能が良い電池らしい!!!

 使用する電池が決まったら、次は何本必要なのかを考えないといけない。 メーカー提供のデータシートを参考に考えてみよう・・・ だが、1A放電までしか詳しいデータがないではないか! おそらく俺らはメーカーの推奨範囲を超えた使い方をしようとしているらしいなぁ〜  ならば、自分たちでデータをとってしまおう!

 1.0Ωの抵抗器を2本並列に繋ぐと0.5Ωの抵抗器になります。 そして、電池から流れ出ている電流は抵抗器の両端の電圧を測ればオームの法則を使って計算することができます。(写真の青と緑のクリップは電圧計測のために電圧計に繋がっている)

 3Aぐらいは流れてくれるといいなぁ〜 とほのかに期待しつつ実験開始!

・・・・・世の中そんなに甘くないよ。。。

 0.5Ωの負荷を繋いだら、最初は元気よく1800mA流れてくれました。(でも、たったそれだけかよ!) このくらいの負荷を繋ぐと30分ぐらいで定年退職、40分ぐらいでご臨終です。。。
 ちょいと待てよ!  今回の実験結果をメーカー公表値から推定される結果と比べてみると、明らかに異なる! なぜだ。。。 これに関して俺はこう考える→ 今回は上の写真のように電池ボックスに電池を入れて実験をおこなったために電池ボックスの端子部分で損失が発生して電圧が下がっている。優秀なパナソニックの技術者の方々はこのような損失が発生しない方法で電池を試験しているのだろう。 そのために、俺の手法と結果が異なったと考えられる。
 ならば、電池ボックスはどのくらいの損失を発生するのだろうか? 1.0Ωと0.5Ωの2通りの抵抗を繋いだ実験の結果から推定すると、どちらの条件でも電池の内部抵抗と電池ボックスで生じる抵抗の合計は同じ0.46Ωとなった。 一方、メーカー公表の値から推測した電池本体の内部抵抗は0.13Ω程度。 すなわち、電池ボックスは0.3Ω程度の抵抗を生じていることが分かる。 このことは、1Aの電流を流すと0.3Vも電圧が下がることを示している。

 俺が思っていた以上に電池ボックスは損失が大きいぞ〜
 新品のオキシライド電池は何も負荷を繋がない状態で約1.7Vの電圧があります。また、他の電池に比べると内部抵抗が小さいので大電流を取り出しやいです。平たく言うと、とてもハイパワーな電池です。  ですが… せっかく性能が良いオキシライド電池でも、しょぼい電池ボックスを使ったり、配線材料をケチったりしたのでは、そのパワーを十分に生かしてあげることができません!
 彼らが十分にパワーを発揮できるように、電池ボックスや配線方法を工夫してあげることが、人を浮かすホバークラフトを作る第一歩です。
 「これが、乾電池に対する俺達の愛です。」

 安物の電池ボックスではオキシライド電池の実力が発揮できないことは分かった。 ならば、まずは電池ボックスを改良してみよう。。。 というわけで、電池ボックスを自作してみました。

 左の写真のように、バネの力を使って厚さ1mmの銅版をガッシリと電池に押し付ける。 そして、太い電線を使って電流をとりだす。

 この電池ボックスを使うとどれだけの電流が取れるのだろうか?

直列に電池2本を接続し、0.5Ωの抵抗器に繋いで実験開始!

※この放電特性のグラフは電池2本を直列に接続したときのものです。

 どうやら電池ボックスでのロスは改善できた。しかし、オキシライド乾電池も他の乾電池同様に電気を使うと電圧が下がってきてしまうため、このままでは安定してホバークラフトのモーターを回すことは出来ない! 電池が新しいうちは浮上できたとしても、電池が少しでも減ると浮上できなくなってしまうかもしれない。 最後まで電気をしゃぶり尽くさないともったいないよね・・・ 考えられる改善策は?
 ・電池が減ってきたら、電池の本数を増やして電圧を上げる。
  → 古い電池と新しい電池を混ぜるのは危険。
 ・最初から電池を多めに繋いでおいて、電池の残量に応じて電圧を調整する制御回路をつける。
  → 身近にあるものだけで製作したい。これは反則!
 ・オキシライド電池はあきらめる。
  → もともと内部抵抗が小さいニッケル水素電池を使う。充電式電池なので充電すれば何度でも使える。

今回使うニッケル水素電池。 1本190円也
メーカーの資料によると内部抵抗は0.022Ω、電流は6600mAまで流しても問題ないそうだ。


 極めて重要な問題を忘れていました。

 ホバークラフトがどれほどの電力を必要とするのか、計算で大まかな予想はしていましたがキチンと検討していませんでした。
 そこで、実験機2号を使って、モーターが必要とする電力を測定しることにしました。 測定条件はホバーに何も加重をかけない状態(自重を浮上させるのみ)にして電圧と電流の関係を調べます。

 こんな方法で良いの? と言われそうですが、コレでいいんです!

 送風機は一般的に吐出し口または吸込み口がふさがれるなどして流量が少なくなると必要とする電力が少なくなります。 例えば、掃除機を窒息させたときに音が大きくなるのは、ファンの回転数が上がっているからです。回転数が上がるということはモーターにかかる負荷が下がっている証拠です!
 誰も乗っていないホバー座布団の方が電気を多く消費するため、何も乗せない状態で浮上するのに必要な電力を供給することができれば人を乗せて浮上することもできるのです。 このように考えると、実験機2号に何も乗せないで消費電力を考察するのは妥当ですよね。

 それで測定した結果がコレ。 送風機1台当たりで必要とする電流を求めました。

 今回は24台の送風機に19Vの電圧をかける必要があるので、17.2Aの電流を流せる電源が必要です。

 ちなみに、実験機2号の浮上能力(15Kg)を超えるおもりを乗せ窒息させた状態で電流を測定した結果、必要とする電流は13.6A(電圧19Vの場合)とからっぽの時の約80%まで低下しました。

多少は遠回りもしましたが、
無事に電源の設計が終了しました。


ニッケル水素電池を64本使用する。

 右の図のように8本直列×4に電池を接続したユニットを2セット作り、これらを2個直列に接続します。 ニッケル水素電池は1本あたり1.2Vの電圧があるので、19V程度の電圧が得られます。

 配線は2mm2の導線と圧着端子で行う。半田付け作業はしなくても良いように・・・



つづく・・・