聞く?効く!おくすり - 毒班

身のまわりの毒

私たちの周りにはさまざまな毒が存在する。動物や植物の毒の種類は数知れず、二酸化炭素、食品添加物など日々生活で 関わっているものでさえ実は毒である。

身のまわりのものの毒

ここに載せてある致死量というのは体重 60kg の人への「LD50」という値で、これは体重 60kg の人が経口投与した場合に 半数の人が死にいたる量を示します。そのため、子供などの場合はこれより少ない量でも死にいたります。

アスピリン(解熱剤)
致死量…… 180 錠
食塩
致死量…… 225 g
大量に食塩をとると、胃壁の炎症を起こす。また高度の刺激によりショック死することがある。 また、長期に渡り過剰にとると高血圧を招く。生きていくのに必要なものであるが、急性毒性と慢性毒性がある。
たばこ(ニコチン)
致死量…… 2.5 本
絵の具(カドミウムレッド)
致死量…… 3 g
蚊取りマット
致死量…… 2800 枚
一酸化炭素
家庭でも、工場でも、タバコを吸っても発生してしまう気体です。中毒の初期は気持ちがよく、無味無臭のため、 気づかずに大事に至ることが多いのです。中毒の原因は、一酸化炭素が赤血球のヘモグロビンと結合してしまうことによって、 血液が酸素を運べないようにしてしまい、酸素不足によって特に脳がおかされてしまうことです。
二酸化炭素
空気中に 0.03% 含まれている。人間の呼気にも含まれ、通常は無毒。しかし濃度が高くなると中毒を起こす。呼気中の 濃度が 10% 以上になると意識不明、30% 以上では即死となってしまう。

そのほか、カフェイン、アルコール、消毒剤、保存料、人工甘味料、食品添加物、農薬なども多く摂取すると 死に至ることがある。

動物の毒

フグ フグ
テトロドトキシンという猛毒。フグ自身が毒を作っているのではなくえさにある微生物が原因。 昔から「フグは食いたし命は惜しし」と言われ、フグ毒の研究は日本で盛んに行われてきた。
ハチ ハチ
ハチの毒針は産卵管の変化したもの。メスしか刺さない。日本で毎年 40 人前後死亡。ハチに刺されて死ぬのは、 毒そのものが原因ではなく、アレルギー反応による。2 度刺されると、1 度目に体に作られた抗体と毒が結合し、 アナフィラキシーショック(嘔吐、じんましん、血圧低下など)を起こすことがある。

そのほか、サソリ、クモ、イソギンチャク、クラゲ、毒貝、ヘビ、ガマ などの動物にも毒がある。

植物の毒

キノコ

種類が多いため、毒の種類もさまざま。食用と毒キノコの見分けは大変難しく、迷信も多い。中毒の症状には、 胃腸症状、コレラ様症状、神経系症状(幻覚なども)などがある。

キノコは、生物学的には菌類に属する生物である。古くから食用に用いられ、季節の味として人々に親しまれてきた。 キノコは低カロリーであるが、ビタミン、ミネラル、繊維質を多く含む。日本はキノコの種類に富んでいて、現在名前が ついているものだけでも 1500 種ほどある。まだ名前がついていないものも多く、全体ではこの 2 - 3 倍の種類があるのでは ないかと言われている。毒キノコも多く、見分けるのは至難の業である。

そのほか、ウルシ、ヤマノイモ、ジャガイモの芽、トリカブト、毒ニンジン、ワラビ、フキノトウ、アマリリス、スイセン、 ヒガンバナ、スズランなどの植物にも毒がある。

毒キノコたち

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ツキヨタケ
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ベニテングタケ
日本のキノコ中毒の半数はこれによる。シイタケなどときわめて間違いやすい。 美味で名高いタマゴタケに似ている。嘔吐や幻覚の症状がでる。

薬効キノコたち

毒キノコもあれば、薬になるキノコも多く存在する。

冬虫夏草
昆虫の体を借りて生える不思議なキノコ。寄生された昆虫は冬には生きているが、その後昆虫は殺され、夏には完全に 植物になってしまうことから、この名前が付けられた。昔から、漢方薬として利用されている。
マンネンタケ
中国で 2000 年も前から不老不死の薬とされてきた。現代科学の研究でもコレステロールの低下や、高血圧の抑制や、 ガン治療にも何らかの効果があるのではないかといわれている。
ドクヤマドリ
ドクヤマドリというキノコは、30 年前までは普通に食べていたキノコであったのに、毒キノコに認定された。 毒が強くなったのか、人間が弱くなったのか、それとも色々なキノコを食べ過ぎてどのキノコで中毒になったのか わからなかったのか?

毒と薬は紙一重。そのうち、今は毒キノコと言われているものが薬になる日がくるのかもしれない。

http://www.t-scitech.net/history/miraikan/medicine/poison/around.html