聞く?効く!おくすり - ウイルス班

インフルエンザウイルス

ウイルスの代表といえば、冬に猛威を振るうインフルエンザが有名です。では、インフルエンザウイルスはいったい どのようなものなのでしょうか。ウイルスの構造と、それが体内に感染していくしくみをみていきましょう。

A型インフルエンザの構造

ウイルスの構造

A 型インフルエンザは、球状のたんぱく質に 500 個ほどの HA(ヘマグルチニン)と、100 個程度の NA(ノイラミニターゼ) が突き刺さったような構造をしています。また、 内部には 8 本の遺伝子が入っています。HA と NA がどのようなもので あるかというと、HA は、シアル酸という物質に結びつく性質を持っています。実は、人のノドにはこのシアル酸がたくさん ついていて、そこに結びついてウイルスは細胞の中に侵入していくのです。また、NA は感染効率を上げるために働きます。既に ウイルスに感染してしまっている細胞や、同じくシアル酸をもつノドの粘液などに HA が結びついてしまったときなどに、NA は これを切り離すはたらきをします。HA と NA の働きによって、インフルエンザウイルスは人間に襲いかかってくるのです。

感染のしかた

インフルエンザにかかっている人が一度セキをすると、だ液などに混じって 1000 匹ものインフルエンザウイルスが 飛び散るといわれています。こうして飛び散ったウイルスが、口や鼻から私たちの体内に入ってきてしまいます。

感染のしかた

こうして入ってきたインフルエンザウイルスが、ノドの粘膜にあるシアル酸に結びつくことから感染が始まります。本来、 シアル酸には養分やホルモンなどといった、細胞にとって味方のものが結びつきます。そのため、細胞自身が インフルエンザウイルスを味方だと勘違いして、自ら細胞内部に取り込んでしまうのです。細胞内部に入り込むことに成功した ウイルスは内部の遺伝子を放出し、細胞の核内でウイルスのコピーをつくります。一度入り込んだウイルスは、細胞の中で 次々とウイルスの子孫をつくり、これらを細胞の外へと放出していきます。こうして新たに発生したウイルスがまわりのノドの 細胞にも次々と侵入していき、組織全体がインフルエンザウイルスに よってダメージを受けてしまうのです。 ダメージを受けた結果、発熱やセキなどの症状が出てくるのです。

http://www.t-scitech.net/history/miraikan/medicine/virus/virus.html