ここでは、防音とよばれる技術について簡単に解説します。 防音は遮音(しゃおん)と吸音に分けられます。
遮音は、外の音を跳ね返らせて内側(部屋の中など)に入らないようにする技術です。音の反射は、重くて厚い素材、 いくつも層が重なった素材で効率よく起こります。そのため、遮音によって騒音(そうおん、うるさい音)を防ぐときも、 重くて厚い素材が有効です。雨戸を閉めて外の音が家の中に入るのを防いだり、オーディオ機器の周りに鉛を取り付けて 音漏れを抑えるのは、遮音の例と言えるでしょう。
これに対し吸音は、素材に音を吸収させて騒音を防ぐ方法です。音の吸収は、やわらかく空気をよく通す素材で起こりすい という性質があります。この性質を利用して、カーテンやじゅうたんで音を吸収する、すなわち吸音することができます。
吸音について、もう少し詳しく説明しましょう。
吸収された音はどうなってしまうのでしょうか?
音は空気を振動させるエネルギーを持っていますが、このエネルギーは素材に吸収されて、熱になってしまいます
(といっても、人間が感じられるほど大きな熱の変化は起こりませんが)。
こうして空気を振動させるエネルギーが失われるので、音は消えてしまいます。これが音の吸収という現象です。
さて、吸音と遮音を組み合わせて、防音を実験してみましょう! イベント当日に行った実験では、まず木の箱の中に 携帯電話を入れます。このとき携帯電話の着信音量は最大にしておきます。
まず、箱に木の板でふたをして、中の携帯電話に電話をかけてみましょう。 ふたを開けているとき(①)より、閉めているとき(②)の方がいくらか静かなようです。 これはふたによる遮音の効果のおかげです。それでも、まだ大きな着信音が聞こえてきます。
次に箱の内側の壁に吸音材を貼って、同じことを試してみます(③)。すると、今度は携帯電話の音が ほとんど聞こえません。これは、先ほどの遮音に加えて、吸音材による吸音の効果があるため、全体として大きな防音効果を 得ていることになります。
この実験から、吸音と防音を組み合わせてより静かな環境を得られることがわかります。
http://www.t-scitech.net/history/miraikan/sound/protect.html