安全評価について

組換え食品を商品化する上で安全評価は重要である。日本では国際的な指針に準じて農林水産省を厚生労働省が評価する。

実質的同等性

組換え食品の安全性を評価する上で取り入れられた考え方。組換え食品の安全性を組み換える以前の食品と比べて、 成分、繁殖製などの特徴が同等であり、導入遺伝子から作られるタンパク質の安全性が確保されればその食品は安全とされる。

食品の安全性を考える上で一番基本的な考え方は「現在食べているものは安全である」というものだ。 しかし、実際はジャガイモの芽やフグの肝のように食品に有害物質が存在していても、その食品を食べている。 同様に現在食べている食品も絶対的に安全とは限らないのだが、安全だという仮定のもとに相対的に評価をしている。

食品としての安全性

組換えによって成分などが変化したかを評価する

• 組換えによって様々な栄養素の増減は無いか
• もともと含まれている有害成分が増えていないか
• 新たに作られるタンパク質が胃や腸で消化されるか
• アレルギーの原因や毒性を持たないか
  など

慢性毒性、発ガン性の危険性を調べるために長期間に渡る 動物実験を行なう方法もあるが、今のところ行なわれた作物はない

• タンパク質の安全性は人工胃液、腸液で消化されるかを確認する
• アレルギーの関与は現在知られているアレルギー原因物質と比較し、似た物質が作られていないかを確認する

環境への安全性

野外で栽培する上で環境へ与える影響を評価する

• 生育の仕方が元の非組換え植物との違いはないか
• 花粉の飛散によって遺伝子が他の植物に移らないか
• 近縁種と交配して雑草化しないか
• 土壌に有害物質が作られてはいないか
• 昆虫など動物への影響はどうか

実験室内で調べるとともに、温室や隔離ほ場（模擬的環境での試験）で 1 年間評価する（冬を越す評価）

日本で販売される予定の組換え食品は研究機関、民間企業で評価された上で、 もう一度日本の風土で安全かどうか農林水産省の隔離ほ場で評価される。

厚生労働省による書類審査

研究室、民間企業から提出された試料に加えて、厚生労働省による評価を科学者・各階有識者の委員会で さまざまな角度から評価する。評価内容は 100 項目にもおよぶ。不足がある場合は追加データの提出を求める。

このような書類審査は、医薬品、食品添加物、農薬でも行なわれている

全てクリアーした場合認可され市場に出すことが可能になる

2001 年 9 月現在、認可されている遺伝子組換え作物

6 作物 39 品目（括弧内は品目数）

ジャガイモ (5)、ダイズ (2)、トウモロコシ (10)、てんさい (1)、ナタネ (15)、綿 (6)

効果別

害虫抵抗性 (11)、除草剤耐性 (28)、高オレイン酸 (1)