表示について

国の認可が下りている遺伝子組換え食品は他の食品と同じ扱いをされるのだが、消費者の不安が高まっていることを考慮して、 日本では 2001 年 4 月から法律により遺伝子組換え食品の表示を義務付けられた。

対象となる法律

  • 改正 JAS 法(農林水産省)… 消費者の商品選択のため
  • 食品衛生法(厚生労働省)… 食品の安全性のため

内容

上記の法律の内容はどちらも同じ
対象農作物:ダイズ、トウモロコシ、ジャガイモ、ナタネ、綿実

(1) 対象農作物そのもの、および対象農作物を主な原料とする場合

組換え DNA または、これによるタンパク質が存在するものとして指定された食品の場合

  • 生産流通段階を通して分別された非遺伝子組換え農作物を原料とする 場合は表示不要(「非組換え」などの任意表示可能)
  • 遺伝子組換えが不分別の農作物を原料とする 場合は「遺伝子組換え不分別」などを義務表示
  • 遺伝子組換え農作物を原材料とする場合は「遺伝子組換え」などを義務表示

(2) 対象農作物を主な原料としない場合は表示不要(任意表示可)

DNA やタンパク質が加工工程で残らないとされた食品 (ダイズ油、ジャガイモでんぷん、コーンフレークなど)は表示不要。 飼料も食品とは直接関係がないので表示不要
このため現在表示が義務化され対象となる遺伝子組換え食品は1割程度である。

海外の表示の動向

安全性が承認されていない組換え食品が国内に流入することを防ぐ目的や、表示が正しく行なわれていることを 確認する目的から流通されている食品を定期的に買い取って調査している。穀物は厚生労働省検疫所、 加工食品は農林水産省消費技術センターが行なっている。検査法も統一が図られている。

検査法

標準検査法は PCR 法である。これは食品から取り出した DNA を大量に増やして読み取る方法である。組換え食品が 入っているか否かの検査精度は 0.1% 以下にまでおよぶ。混入率は組換え食品の種類によって 0.5% 程度まで技術的に検査可能。 また、一部の組換え食品ではエライザ法(特定のタンパク質に反応する抗体を使う方法)も混入率の検査法として使われている。

国際的な取り組み

FAO(国連食料農業機関)と WHO(世界保健機関)が共同で国際的な食品の規格を定める コーデックス委員会が中心となって組換え食品の安全評価基準などを検討。 その他、OECD(経済協力開発機構)、WTO(世界貿易機構)、生物多様性条約などが関わり国際的な対応を議論している。

http://www.t-scitech.net/history/miraikan/gmo/safety3.html